【 屋船神社は 神代から 伝わってきた 随神の道を継承する 】
神道は、太古の日本より連綿として今日に至るまで信仰されてきた固有の伝統的宗教で あり、そこには明確な教義や教典、教祖といったものはなく、大自然そのものが、神であり、教義、教典である。 神道の 根本的な思想である、随神の道(かんながらのみち)=惟神の道とは、自然に従いあるがままに生きるという意味である。 四季おりおりに恵みをもたらしてくれるなど、日々の暮らしを支えてくれるさまざまな自然の姿に、気配を覚え、霊力を 感じ、それを神と呼び、崇めたのである。 自然と対立するのではなく、自然と共に生きるという、共存共栄の道、こうした無言の教え、それこそが神道なのである。 また、神々は、必ずしも恩恵だけを与えてくれるわけでもない。豊かな産物をもたらしてくれる雨の神も、 ひとたび大雨を降らすと、たちまち洪水を引き起こし、恐ろしい災厄をもたらすこともある。 こうした自然の摂理にも、人間の知恵や善悪の意識を越えたすぐれた徳を持つ神々の存在を感じ、さまざまな加護を願い、大きな自然の中に身をゆだね、自然と共存しながら生きていくことが、神々を恐れ畏むこととなるのである。
〚 御祭神 〛
や ふ ね く く の ち の み こ と
屋 船 久 久 遅 命 ( 樹木の神 )
や ふ ね と よ う け ひ め の み こ と
屋 船 豊 宇 気 姫 命 ( 稲穂の神 )
古事記によれば、伊邪那岐命・伊邪那美命は、神婚による国生みの後、神々を生む。その十二番目に生まれたのが、木の神 「久久能智神」 である。 神名の 「クク」 は、茎のことで、草木の幹の立ち伸びるさまを表し、 「チ」 は、男性の美称であると本居宣長はいう。 日本書紀では、木の生み祖である 「ククヌチ」 を生んだと 表現するところから、間接的に木を生んだことになる。 折口信夫は、こうした表現をする裏には 「山川に生えている眺める樹木ではなく、建築用材の木の霊魂」 を表す意図があるという。 屋船神(家船神)という別称も、それを表しているという。 「延喜式」 祝詞 (大殿祭)には 「平らけく安らけく護り奉る神の御名をもうさく、屋船久久遅命 (是木霊也)、屋船豊宇気姫命 (是稲霊也)、俗の詞に 「宇賀能美多麻、今の世、 産屋に辟木束稲を以て戸辺に置き、すなわち米を以て、屋中に散ずるの類也」と、御名をば称え奉りてとあり、 家を護る屋船神が、木霊・屋船久久遅命と稲霊・屋船豊宇気姫命とされる。 また、日本書紀に記される 句句廼馳(ククヌチ)は、家の木材の神とし、続いて生まれた草の祖 「草野姫」 と、「延喜式」祝詞に記載される 屋船豊宇気姫命は、 同一神で、米と藁などの神とされ、家の屋根の葺き草を司る神であるとした。 家屋は、木を材料にして造り、葺き草で覆う。 故に、木神と草神とを並べて奉り、屋船神として祀ったという。
(神道大辞典より抜粋)
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